避妊手術の方法は?
開腹して左右両側の卵巣と子宮を全て切除します。(通常は1泊2日の入院となります。)
これによって繁殖能力がなくなるため、発情しなくなり妊娠できなくなります。
いつ行うべき?
品種・生まれた季節などによって違いがありますが、雌猫は生後6~9ヵ月で性成熟に達するとされています。
したがって、それよりできるだけ早期に避妊手術を行うことが推奨されています。
ただし、生後3ヵ月以前では麻酔の安全性に欠けるため、実際には4~6ヵ月頃に行うことをおすすめします。
避妊手術のメリット・デメリット
メリット
・望まない妊娠をしなくなる
・問題行動の・予防改善(マーキング行動・鳴き声など)…*1
・卵巣・子宮の病気がなくなる(腫瘍・子宮蓄膿症など)
・乳腺腫瘍のリスクが減る…*2
デメリット
・妊娠できなくなる
・全身麻酔になるため、麻酔のリスクがある
・肥満になりやすい…*3
*1 避妊手術によって防げる&改善する問題行動
・鳴き声…発情しなくなるので、発情期特有の低い唸るような鳴き方をしなくなります。
・放浪行動…発情期になると外に出て放浪するねこちゃんがいます。
この行動も避妊手術によって改善する可能性があります。
・マーキング行動…雌も雌性ホルモンの影響で尿マーキング行動をします。
避妊手術をすると、発情期のマーキング行動は95%改善するという報告もあります。
⇒ただし、雌性ホルモン以外の理由でこれらの行動を行っている場合は改善しないこともあります。
*2 乳腺腫瘍について
ねこちゃんの乳腺腫瘍は、全腫瘍の発生率の第3位で、雌猫の腫瘍の17%を占めます。
ねこちゃんの場合、乳腺腫瘍の70~90%が悪性で
腫瘍発見から1年以上生存することはまれであるとされている怖い病気です。
しかし、避妊手術を生後24ヵ月以内に行えば乳腺腫瘍のリスクを減らすことができると報告されています。
避妊していない雌猫は、避妊している雌猫に比べて乳腺腫瘍のリスクが7倍高いという報告もあります。
⇒乳腺腫瘍は雌性ホルモンに暴露されている時間が短いほどリスクが減らせるとされており、
避妊を考えられている場合はできるだけ早期に手術をすることをおすすめします。
*3 避妊手術をすると肥満になりやすい?
雌性ホルモンであるエストロジェンには食欲抑制効果があり、
避妊手術によりこのホルモンの分泌がなくなるため、食欲増進傾向になります。
また卵巣を除去すると、生体に必要なカロリーが15~25%減少するので
手術前と同じ食事量では肥満になる可能性があります。
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