わんちゃんの避妊手術
避妊手術の方法は?
開腹して左右両側の卵巣と子宮を全て切除します。(通常は1泊2日の入院となります。)
これによって繁殖能力がなくなるため、発情がなくなり妊娠できなくなります。
いつ行うべき?
雌犬の場合、品種や飼育環境によって大きく異なりますが、生後6~15ヵ月で性成熟に達するとされます。
多くのわんちゃんは生後6~8ヵ月に初回発情があり、大型犬に比べて小型犬の方が早い傾向があります。
したがって、それよりできるだけ早期に避妊手術をすることが推奨されます。
ただし、生後3ヵ月以前では麻酔の安全性に欠けるため、実際には生後4~6ヵ月頃に行うことをおすすめします。
避妊手術のメリット・デメリット
メリット
・望まない妊娠をしなくなる
・問題行動の改善の可能性がある(尿マーキング・発情期の放浪行動)
・発情に伴う出血がなくなる
・卵巣と子宮の病気がなくなる
(腫瘍・子宮蓄膿症など)…*1
・乳腺腫瘍のリスクが減る…*2
デメリット
・妊娠できなくなる
・全身麻酔になるため、麻酔のリスクがある
・肥満になりやすい…*3
* 1 子宮蓄膿症とは?
子宮蓄膿症とは、子宮内に膿がたまってしまう病気です。
老齢のわんちゃんに多くみられ、9歳以上の未避妊の犬における発症率は66%以上という報告もあり、
避妊手術をしていないわんちゃんはかかる可能性の高い病気です。
発症してしまうと、早期に治療しなければ死亡する可能性もあります。
治療法は内科療法もありますが、副作用や再発の問題があり、ほとんどの場合摘出手術になります。
*2 乳腺腫瘍について
乳腺腫瘍は、雌犬で最も多く発生する腫瘍で、その50%が悪性であるといわれています。
乳腺腫瘍には雌性ホルモンが関与しており、避妊手術によりその発生率が下がると報告されています。
避妊手術の時期が早いほど、その発症率は低くなるため、できるだけ早期の手術が推奨されています。
*3 避妊手術をすると肥満になりやすい?
雌性ホルモンであるエストロジェンには食欲抑制効果があり、
避妊手術によりこのホルモンの分泌がなくなるため、食欲増進傾向になります。
また、卵巣を除去すると、生体に必要なカロリーが15~25%減少するので
手術前と同じ食事量では肥満になる可能性があります。